令和7年5月21日
日本火薬工業会 第78回総会後の懇談会 ご挨拶
本日は、第78回日本火薬工業会、定時総会後の懇談会にご出席賜り厚く御礼申し上げます。私は、本日の定時総会で新会長を仰せつかりました、カヤク・ジャパン株式会社の谷口でございます。小川前会長の後任として、日本火薬工業会会長という重責をお引き受けすることになりました。これまでと同様、皆様のご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
高い席からではありますが、当会を代表いたしまして一言ご挨拶申し上げます。
本日は、経済産業省からご多用中にもかかわらず、大臣官房
産業保安・安全グループより鉱山・火薬類監理官 大川様をはじめ監理官付から3名様、製造産業局 素材産業課より革新素材室長 山田様をはじめ3名様にご臨席頂いております。心より御礼申し上げます。
更に私ども火薬業界が日ごろよりお世話になっております学術界及び関係団体の皆様にもご列席いただき重ねて御礼申し上げます。ご来賓の皆様につきましては後ほど詳しくご紹介させていただきます。
さて、近年の産業用爆薬及び電気雷管の出荷量は、対前年比較で大きく落ち込んだ令和5年に比較して、令和6年は産業用爆薬が対前年マイナス3.2%、電気雷管が対前年マイナス0.1%とさらに減少し、需要の回復は見えていない状況です。中央リニア新幹線等、大型土木工事による回復を期待しておりましたが、経済の先行き不安感や物価高騰等の影響で思っていた程進まなかったと推定しております。
令和7年の需要予測は、政府投資予算が継続して確保され、また一部大型工事の進捗が期待できる一方、コスト高や人員不足等の懸念材料が残っていることから、産業用爆薬で対前年1.2%減の27,300トン、電気雷管で対前年1.0%増の632万個と予測いたしました。しかしながら、本年1月~3月の産業用爆薬の出荷量は予想に反しまして、対前年をやや上回っております。今後の予断は許しませんが、需要増大に期待したいと思います。
次に安全についてであります。火薬類製造における保安管理につきまして、常日頃より経済産業省の関係各位、会員各社各位のご尽力に感謝申し上げます。昨年の産業火薬の事故につきましては、製造中では廃棄中の事故が1件ございました。会員各位におかれましては、過去の事例を参考に、更なる安全レベルの向上に努めていただければと思います。また、消費中では飛石を中心に10件の事故が発生し、増加傾向がみられます。より一層の注意や働きかけの必要性を感じております。
本日開催しました定時総会で決議された令和6年度の事業報告の成果のひとつとして、「火薬類製造所における保安指針」の改訂がございます。この本は火薬類の製造にたずさわる保安管理者のバイブルであり、各種申請における規範も含んでおります。経済産業省鉱山・火薬類監理官付の方々にもオブザーバー参加いただき、会員各社からなる編集委員会におきまして、8ヶ月間の編集作業の末、昨年8月より販売を開始することができました。ご協力を賜りました各位に、この場をお借りして御礼申し上げます。皆様方の安全管理活動のお役に立てると信じておりますのでご活用ください。
また、製造保安責任者研修会を春は5月に日本工機株式会社 白河製造所殿のご協力をいただき開催し、秋は11月に機械振興会館にて開催いたしました。それぞれ、多数の方々のご参加をいただき保安活動報告、意見交換等の交流を通じて、保安意識の高揚とレベル向上のお役に立てたのではないかと思っております。
今年度、令和7年度の事業計画の一部をご紹介しますと、毎年発行しております「火薬類取締法令集」につきまして、今月末に令和7年度版を発刊いたします。関係各位におかれましては、最新法令の確認にご活用いただければ幸いです。
また、火薬類の製造と保安の講習会のテキストでもある「火薬類製造所の保安管理技術」を16年振りに更新すべく、編集委員の方々の御協力のもと改訂作業を進めております。発刊の際にはご購入の程よろしくお願いいたします。なお「火薬類取締法令の解説」通称「赤本」の改訂版につきましても進めておりますので、合わせてよろしくお願いいたします。
「火薬類の製造と保安に関する講習会」につきましては、8月4日から8月6日にかけて開催予定ですので、保安担当者の後継者育成等にお役立ていただければ幸いです。製造保安責任者研修会につきましては、春は5月28日に株式会社カーリット赤城工場殿のご協力をいただき開催予定です。秋は今年度も機械振興会館にて開催予定ですので変わらずのご参加をお願い申し上げます。
当工業会は、会員各社の事業に共通の利益を増進し、火薬事業の健全な発展を図ることを目的として、「保安の確保」、「技術の向上」、「人材育成」、「規制緩和」、「業界の諸問題」という5つの課題を掲げ活動していきます。皆様のご支援を宜しくお願いいたします。
最後になりますが、本日ご列席の皆様方のご健康とご多幸、会員各社及び関係各位の益々のご発展を心よりご祈念申し上げ、私の挨拶とさせて頂きます。
日本火薬工業会 会長 谷口 弘幸
昭和15年6月、当時の火薬製造会社13社は、共同出資して日本火薬工業組合を設立した。昭和16年、太平洋戦争に突入し戦時統制が更に進展するにつれ、日本の全産業は統制下に置かれた。終戦後、全産業の統制は解かれそれぞれの産業が独自に自由経済への道を模索し始めた。
戦時統制が強化されるにつれ、昭和17年4月、日本火薬共販株式会社と 日本火薬工業組合は合体して日本火薬統制株式会社を設立し、資材の確保、製品の販売の両面を取り扱うことになった。更に戦局が進展するにつれ、日本の全産業をより強力な統制下に置かなければならなくなり、化学工業関係全体の統制機関として化学工業統制会が出来、火薬工業はその第三部会火薬部に属し、そこで生産計画、資材の割当て及び製品の配給割当てを行うようになった。そして昭和19年3月、統制会社令に基づく統制会社となり、社長も化学工業統制会第三部長が兼務して終戦に至った。
日本火薬統制株式会社は昭和20年末GHQに対して、日本の産業火薬類生産再開に関する陳情書を提出する等終戦後の火薬業界のため極めて重要な活動をした。その後も火薬統制会社は業界を代表してGHQとの折衝に当たり、火薬類の生産割当て等の仕事をし、火薬産業が終戦後の混乱からいち早く立ち上がることが出来るよう努力した。
昭和21年9月、日本火薬統制株式会社は、他の統制会社と同様にGHQから解散を命ぜられたので、日本火薬販売株式会社を設立して販売面の仕事を、日本火薬工業組合を設立して資材の割当申請等をすることとなった。この頃は制度の変更が激しく、昭和22年3月、日本火薬販売株式会社は閉鎖機関となり、続いて火薬類は指定生産資材に指定されたので、日本火薬工業組合も昭和22年7月に解散して、火薬類の受給割当、資財の割当は商工省の化成課が行うことになった。しかし、仕事の実務面は、火薬製造会社が昭和22年4月に設立した火薬懇話会がこれに協力した。ところがこのような会が配給業務等に携わることは、独占禁止法上問題があるとのことで、昭和23年4月に火薬懇話会も自粛解散しなければならなくなったので、これに代わるものとして昭和23年5月火薬業界は事業者団体令に基づいて日本産業火薬会を設立した。
平成2年5月、日本に於ける火薬類に関する唯一の事業者団体であることを明確にする趣旨で「日本火薬工業会」と名称を変更した。
日本火薬工業会設立経過 →設立経過説明図
【規約】
日本火薬工業会規約 →規約
【目的】
火薬工業の発達に必要な事項について調査研究し、業界の公正な意見を明らかにすると共に、会員相互の親睦、連絡及び啓発を図り、会員の事業に共通の利益を増進し、本工業の健全なる発展を計ることを目的とする。
【事業内容】
日本火薬工業会機構図 →機構図
日本火薬工業会略年表 →略年表 [昭和23年(1948年)~令和6年(2024年) 8月]
経済産業省(旧通商産業省)主催の火薬類保安技術実験年表→保安技術実験年表[昭和30年(1955年)~令和5年(2023年)]
春季火薬類製造保安責任者研修会見学会開催場所→見学会開催場所[平成13年(2001年~令和7年(2025年)]
火薬工業技術奨励会の発足から解散まで →資料