令和6年5月21日
日本火薬工業会 第77回総会後の懇談会 ご挨拶
日本火薬工業会
会長 小川 文生
本日は、第77回日本火薬工業会、定時総会後の懇談会にご出席賜り厚く御礼申し上げます。令和5年5月より会長を務めております、日本カーリット株式会社の小川でございます。
高い席からではありますが、当工業会を代表いたしまして一言ご挨拶申し上げます。
本日は、公務ご多用にもかかわらず、経済産業省
製造産業局 素材産業課より企画官 濱坂様をはじめ3名様に、また、日ごろ保安関係でご指導いただいております商務情報政策局産業保安グループより鉱山・火薬類監理官 大川様をはじめ監理官付きをはじめ76名様のご臨席頂いております。後ほど詳しくご紹介させていただきますが、心より御礼申し上げます。
更に私ども火薬業界が日ごろお世話になっております学術界及び関係団体の皆様にもご列席いただき重ねて御礼申し上げます。
さて、産業用爆薬及び電気雷管の出荷量は、令和4年は対前年で若干増加しましたが、令和5年は産業用爆薬が対前年マイナス7.9%、電気雷管が対前年マイナス7.3%と大きく減少し大変残念な状況でした。コロナ禍の影響が小さくなり、中央リニア新幹線を中心とする大型土木工事の本格化による回復を期待しておりましたが、全体の需要回復が思っていた程進まなかったと推定しております。
令和6年の需要予測は、防災・減災・国土強靭化推進を背景とし政府投資予が確保される一方、コスト高や人員不足等の懸念材料があることから、産業用爆薬で対前年4.2%増の29,750トン、電気雷管で対前年5.6%増の667万個と予測いたしました。3月までの出荷量の集計値ではまだ回復感が感じられませんが、今後の需要増大に期待したいと思います。
さて、定時総会で決議されました令和5年度の事業報告の成果のひとつとして、学術界、関係団体及び経済産業省のご協力を賜り、「火薬類取締法令の解説(通称:赤本)」につきまして、令和5年3月末までの改正法令を反映した改訂版を令和5年10月15日に発行いたしました。既に多くの方々にご購入いただいており、改めて感謝申し上げます。第1回目として1,000冊印刷いたしましたが、残り341冊となっておりますので、ご予算の許す範囲で更なるご購入を重ねてお願いいたします。
また、火薬類製造保安責任者試験の受験準備講習としてご好評頂いております「火薬類の製造と保安に関する講習会」を令和5年7月31日~8月2日で開催し、44名の方々に受講いただきました。
更には製造保安責任者研修会を春季は6月2日に株式会社ダイセル播磨工場殿のご協力をいただき開催し、秋季は11月2日に機械振興館にて開催いたしました。各々、多数の方々のご参加をいただき保安活動報告、意見交換等の交流を通じて保安意識の高揚とレベル向上のお役に立てたのではないかと思っております。
令和6年度の事業計画の一部をご紹介しますと、毎年発行しております「火薬類取締法令集」につきましては、今月末に令和6年度版を発刊いたします。関係各位におかれましては、最新法令の確認にご活用いただければ幸いです。
また、「火薬類の製造と保安に関する講習会」につきましては、8月5日から8月7日にかけて開催予定ですので、保安担当者の後継者育成等にお役立ていただければ幸いです。製造保安責任者研修会につきましては、春季は5月31日に日本工機株式会社白河製造所殿のご協力をいただき開催予定です。秋季につきましても機械振興館にて開催予定ですので相変わらずのご参加をお願い申し上げます。
当工業会は、会員の事業に共通の利益を増進し、火薬事業の健全な発展を図ることを目的として、「保安の確保」、「技術の向上」、「人材育成」、「規制緩和」、「業界の諸問題」という5項目の課題を掲げ活動していきますので、皆様のご支援を宜しくお願いいたします。
最後になりますが、本日ご列席の皆様方のご健康とご多幸、会員各社及び関係各位の益々のご発展を心よりご祈念申し上げ、私の挨拶とさせて頂きます。
以 上
昭和15年6月、当時の火薬製造会社13社は、共同出資して日本火薬工業組合を設立した。昭和16年、太平洋戦争に突入し戦時統制が更に進展するにつれ、日本の全産業は統制下に置かれた。終戦後、全産業の統制は解かれそれぞれの産業が独自に自由経済への道を模索し始めた。
戦時統制が強化されるにつれ、昭和17年4月、日本火薬共販株式会社と 日本火薬工業組合は合体して日本火薬統制株式会社を設立し、資材の確保、製品の販売の両面を取り扱うことになった。更に戦局が進展するにつれ、日本の全産業をより強力な統制下に置かなければならなくなり、化学工業関係全体の統制機関として化学工業統制会が出来、火薬工業はその第三部会火薬部に属し、そこで生産計画、資材の割当て及び製品の配給割当てを行うようになった。そして昭和19年3月、統制会社令に基づく統制会社となり、社長も化学工業統制会第三部長が兼務して終戦に至った。
日本火薬統制株式会社は昭和20年末GHQに対して、日本の産業火薬類生産再開に関する陳情書を提出する等終戦後の火薬業界のため極めて重要な活動をした。その後も火薬統制会社は業界を代表してGHQとの折衝に当たり、火薬類の生産割当て等の仕事をし、火薬産業が終戦後の混乱からいち早く立ち上がることが出来るよう努力した。
昭和21年9月、日本火薬統制株式会社は、他の統制会社と同様にGHQから解散を命ぜられたので、日本火薬販売株式会社を設立して販売面の仕事を、日本火薬工業組合を設立して資材の割当申請等をすることとなった。この頃は制度の変更が激しく、昭和22年3月、日本火薬販売株式会社は閉鎖機関となり、続いて火薬類は指定生産資材に指定されたので、日本火薬工業組合も昭和22年7月に解散して、火薬類の受給割当、資財の割当は商工省の化成課が行うことになった。しかし、仕事の実務面は、火薬製造会社が昭和22年4月に設立した火薬懇話会がこれに協力した。ところがこのような会が配給業務等に携わることは、独占禁止法上問題があるとのことで、昭和23年4月に火薬懇話会も自粛解散しなければならなくなったので、これに代わるものとして昭和23年5月火薬業界は事業者団体令に基づいて日本産業火薬会を設立した。
平成2年5月、日本に於ける火薬類に関する唯一の事業者団体であることを明確にする趣旨で「日本火薬工業会」と名称を変更した。
日本火薬工業会設立経過 →設立経過説明図
【規約】
日本火薬工業会規約 →規約
【目的】
火薬工業の発達に必要な事項について調査研究し、業界の公正な意見を明らかにすると共に、会員相互の親睦、連絡及び啓発を図り、会員の事業に共通の利益を増進し、本工業の健全なる発展を計ることを目的とする。
【事業内容】
日本火薬工業会機構図 →機構図
日本火薬工業会略年表 →略年表 [昭和23年(1948年)~令和6年(2024年) 8月]
経済産業省(旧通商産業省)主催の火薬類保安技術実験年表→保安技術実験年表[昭和30年(1955年)~令和5年(2023年)]
春季火薬類製造保安責任者研修会見学会開催場所→見学会開催場所[平成13年(2001年~令和6年(2024年)]
火薬工業技術奨励会の発足から解散まで →資料