日本火薬工業会 第76回定時総会後の懇談会 ご挨拶
本日は、第76回日本火薬工業会、定時総会後の懇談会にご出席賜り厚く御礼申し上げます。私は、本日の定時総会で新会長を仰せつかりました日本カーリット株式会社の小川でございます。宮道前会長の後任として2年間、工業会会長という重責をお引き受けすることになりました。これまでと同様、皆様のご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
高い席からではありますが、当工業会を代表いたしまして一言ご挨拶申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、総会後の懇談会は令和元年5月の開催以降中止としておりましたが、4年ぶりに従来の立食形式で懇談会を開催できますことをたいへんうれしく思っております。
本日は、公務ご多用にもかかわらず、経済産業省製造産業局素材産業課より吉村課長様をはじめ3名様に、また、日ごろ保安関係でご指導いただいております商務情報政策局産業保安グループより鉱山・火薬類監理官岡本様をはじめ監理官付きの皆様、更に九州産業保安監督部からもご臨席頂いております。後ほど詳しくご紹介させていただきますが、心より御礼申し上げます。
更に私ども火薬業界が日ごろお世話になっております学術界及び関係団体の皆様にもご列席いただき重ねて御礼申し上げます。
さて、産業用爆薬及び電気雷管の出荷量は、いずれも令和3年まで3年連続で対前年を下回り、令和4年も産業用爆薬が対前年プラス0.6%、電気雷管が対前年プラス0.7%とほぼ前年並みの結果となりました。
コロナ禍による景気の低迷と期待しているリニア中央新幹線工事の本格化がいまだに遅れていることが需要回復に至らない理由のひとつと考えられます。
令和5年の需要予測は、コロナの影響も解消されて国内経済が活発化することが見込まれること、また、リニア工事がいよいよ本格化することを期待し、産業用爆薬32,150トン(対前年3.6%のプラス)、電気雷管759万個(対前年11.4%のプラス)と反転上昇の予測と致しました。3月までの出荷量の集計値ではまだ回復感が感じられませんが、今後の需要増大に期待したいと思います。
一方、昨今の原材料価格やエネルギー価格、労務費等の大幅な上昇は、我々火薬類関連業界にとっても業績に大きく影響を受けているところです。当工業会と致しましては、価格の問題には関与致しませんが、政府や経済三団体も提唱しておりますように、産業用火薬類につきましてもサプライチェーン全体を通して、利益配分の適正化が図られることを望むところです。
さて、定時総会で決議されました令和4年度の事業報告の成果のひとつとして、令和3年度より、日本規格協会のご指導の下、当工業会が事務局となり、学識経験者の皆様、火薬関連団体及び火薬関連企業の有識者の皆様と共に改訂に取り組みました「火薬用語」のJISが、本年2月に「JIS K 4800 2023」として公示され、23年ぶりに改訂されました。自動車安全部品関連をはじめ、最新の火薬技術の進歩に対応したものに改訂されましたので、関係先で活用されることを期待いたします。
また、令和5年度の事業計画の一部をご紹介しますと、毎年発行しております「火薬類取締法令集」につきましては、今月末に令和5年度版を発刊いたします。関係各位におかれましては、最新法令の確認にご活用いただければ幸いです。
また、学術界、関係団体及び経済産業省のご協力の下、令和2年3月より改訂準備を進めてまいりました「火薬類取締法令の解説(通称:赤本)」につきましては、予定されている性能規定化の規則改正との兼ね合いで出版時期が定まらない状況が続いておりましたが、平成25年改訂版の発刊から約10年が経過し、関係各方面から改訂版の発刊を望む声が大きくなっていることなどを考慮し、先月の編集委員会で本年3月末までの改正法令を区切りとして改訂版を発刊することが決定されたとのことです。本日の総会で承認されました事業計画にも、本年度中に発刊することが明記されましたので、発刊されましたら是非ご活用をお願い致します。
また、火薬類製造保安責任者試験の受験準備講習としてご好評頂いております「火薬類の製造と保安に関する講習会」につきましても、7月31日から8月2日にかけて開催予定です。保安担当者の後継者育成等にお役立ていただければ幸いです。
当工業会は、昭和23年5月に日本産業火薬会として創立以来、今年で75周年を迎えました。令和5年度も会員の事業に共通の利益を増進し、火薬事業の健全な発展を図ることを目的として、「保安の確保」、「技術の向上」、「人材育成」、「規制緩和」、「業界の諸問題」という5項目の課題を掲げ活動していきますので、皆様のご支援を宜しくお願いいたします。
最後になりますが、本日ご列席の皆様方のご健康とご多幸、会員各社及び関係各位の益々のご発展を心よりご祈念申し上げ、私の挨拶とさせて頂きます。
ご清聴ありがとうございました。
令和5年5月24日
日本火薬工業会
会長 小川 文生
日本カーリット株式会社 代表取締役兼社長執行役員
昭和15年6月、当時の火薬製造会社13社は、共同出資して日本火薬工業組合を設立した。昭和16年、太平洋戦争に突入し戦時統制が更に進展するにつれ、日本の全産業は統制下に置かれた。終戦後、全産業の統制は解かれそれぞれの産業が独自に自由経済への道を模索し始めた。
戦時統制が強化されるにつれ、昭和17年4月、日本火薬共販株式会社と 日本火薬工業組合は合体して日本火薬統制株式会社を設立し、資材の確保、製品の販売の両面を取り扱うことになった。更に戦局が進展するにつれ、日本の全産業をより強力な統制下に置かなければならなくなり、化学工業関係全体の統制機関として化学工業統制会が出来、火薬工業はその第三部会火薬部に属し、そこで生産計画、資材の割当て及び製品の配給割当てを行うようになった。そして昭和19年3月、統制会社令に基づく統制会社となり、社長も化学工業統制会第三部長が兼務して終戦に至った。
日本火薬統制株式会社は昭和20年末GHQに対して、日本の産業火薬類生産再開に関する陳情書を提出する等終戦後の火薬業界のため極めて重要な活動をした。その後も火薬統制会社は業界を代表してGHQとの折衝に当たり、火薬類の生産割当て等の仕事をし、火薬産業が終戦後の混乱からいち早く立ち上がることが出来るよう努力した。
昭和21年9月、日本火薬統制株式会社は、他の統制会社と同様にGHQから解散を命ぜられたので、日本火薬販売株式会社を設立して販売面の仕事を、日本火薬工業組合を設立して資材の割当申請等をすることとなった。この頃は制度の変更が激しく、昭和22年3月、日本火薬販売株式会社は閉鎖機関となり、続いて火薬類は指定生産資材に指定されたので、日本火薬工業組合も昭和22年7月に解散して、火薬類の受給割当、資財の割当は商工省の化成課が行うことになった。しかし、仕事の実務面は、火薬製造会社が昭和22年4月に設立した火薬懇話会がこれに協力した。ところがこのような会が配給業務等に携わることは、独占禁止法上問題があるとのことで、昭和23年4月に火薬懇話会も自粛解散しなければならなくなったので、これに代わるものとして昭和23年5月火薬業界は事業者団体令に基づいて日本産業火薬会を設立した。
平成2年5月、日本に於ける火薬類に関する唯一の事業者団体であることを明確にする趣旨で「日本火薬工業会」と名称を変更した。
日本火薬工業会設立経過 →設立経過説明図
【規約】
日本火薬工業会規約 →規約
【目的】
火薬工業の発達に必要な事項について調査研究し、業界の公正な意見を明らかにすると共に、会員相互の親睦、連絡及び啓発を図り、会員の事業に共通の利益を増進し、本工業の健全なる発展を計ることを目的とする。
【事業内容】
日本火薬工業会機構図 →機構図
日本火薬工業会略年表 →略年表 [昭和23年(1948年)~令和5年(2023年) 1月]
経済産業省(旧通商産業省)主催の火薬類保安技術実験年表→保安技術実験年表[昭和30年(1955年)~令和4年(2022年)]
春季火薬類製造保安責任者研修会見学会開催場所→見学会開催場所[平成13年(2001年~令和4年(2022年)]